論理学をつくる会(論理学勉強会)を終えて

5月から月2回ペースでやっていた論理学の勉強会を先週の土曜日に終えた。それほど明確な――あるいは短期的な――目的を持って論理学を始めたわけではなかったけれど、それでも全てやり終えた今では自信を持ってやって良かったと言える。


勉強会は輪講形式で、5人がそれぞれ担当箇所を講義するというものだった。使用したテキスト『論理学をつくる』はA4で400ページを超えるかなり大きな本。そのタイトルの通り、自分たちが普段使っている「論理」が「論理学」になるようにこつこつ積み上げていくスタイルで書かれていて、初学者でも取り組みやすかった。


この勉強会を通して得られた一番大きなものは、得体の知れないものと戦う方法じゃないかと思う。初めて論理学を学び、初めてレジュメを作り、これまた初めて1対多人数の講義をした。それらをこなしている内に段々と「要領」が掴めてくる感覚があった。それは今まで知ることの無かった感覚で、これからもずっと自分の中に残る感覚=センスなんだろうと思う。例えばTeXが使えるようになったなど個別的な進歩は、これと比べれば大したことじゃない。
他の科目ではなく「論理学」を学んだメリットといえば、論理が決して無味乾燥なものじゃなく、その裏には多くの哲学的・思想的な選択が潜んでいるのを知れたことがある。論理学の中には色々な立場があるけど、それは突き詰めれば「論理的とはどういうことか?」という問いへの答えの差違から生まれるものだろうと思う。そう考えると、日常で論理を用いるということは自分の立場の表明に他ならないと分かる。
また、偶然読んだウィトゲンシュタイン――論理学をベースにした哲学を展開した哲学者――の思想と学習内容がリンクしたのも面白かった。勉強会で得た知識をウィトゲンシュタインの理解に活かし、また逆にウィトゲンシュタインの少し変わった論理学から自分がやっている論理学を見つめ直すことも出来た。今読んでいる科学哲学の本でもこの勉強会で扱われたことの一つである「実在論」について書いてあるようだし、あちらこちらで学んだことが顔を出すのは論理学の懐の深さを示してるような気がする。


反して課題はと言えば、なかなかテキスト消化→レジュメに出力というペースが掴めなくて、特に予備校の授業期間中は結構しんどい思いをしたことがある。これは数をこなしていくしかないだろうなー。実際終盤はまあまあ何とかなっていたように思う。


来年大学に入ってからも、どういうカタチであれ論理学は続けようと思っている。4年の内に不完全性定理を理解するという野望を胸に抱きながら。新たに勉強会を立ち上げるにせよ既存のものに参加するにせよ自習するにせよ、この勉強会の経験はきっと活かされるだろうと思う。
その前にもまずは受験を乗り越えなきゃならない!この経験を受験勉強にも活かせていけたらな―と思っているけど流石に欲張りすぎかな。